2026.08.29
業務用エアコンの選び方|馬力を上げずに「分ける」という考え方
「広い店舗だから10馬力を1台」——この選び方で、後悔されるお客様がいます。
必要な能力が10馬力だとして、それを1台で賄うのか、3馬力を3台に分けるのかで、快適性も故障時のリスクも大きく変わります。
年間1,000台の業務用エアコンを販売・施工している立場から、カタログには書かれていない選定の考え方をお伝えします。
結論:1台あたりの馬力は3馬力までに抑えるのが基本です
業務用エアコンは1台あたり3馬力までに抑え、必要能力が大きい場合はツイン・トリプルで分割するのが基本です。4馬力以上は高天井仕様で風速が強くなるためです。
理由は風速です。
- 3馬力まで:風速が弱く、風向をコントロールしやすい
- 4馬力以上:高天井仕様のため、風速が強い
長時間滞在する空間で風速が強いと、不快さの原因になります。
6馬力・8馬力・10馬力が必要な場合
必要能力が大きい場合は、機器を大きくするのではなく分割します。
| 必要能力 | 推奨する構成 |
|---|---|
| 6馬力 | 3馬力 × 2台(ツイン) |
| 8馬力 | 3馬力 × 3台(トリプル)等 |
| 10馬力 | 分割して1台あたりの馬力を小さく |
「室内機1台あたりの馬力を小さくする」という考え方です。
ツインを組むときは、方位の組み合わせに注意が必要です
ツインは基本的にリモコン1台で同時運転になります。そのため南側と北側、東側と西側という組み合わせは適していません。
ここが見落とされやすい点です。
同じ室内でも、方位で負荷が違います
| 方位 | 負荷が高くなる時間帯 |
|---|---|
| 東側 | 午前中 |
| 西側 | 午後 |
| 南側 | 日中を通して高い |
| 北側 | 相対的に低い |
同じ広さの空間でも、南側の席と北側の席では必要な冷房能力が異なります。東側は午前中、西側は午後に負荷が高くなります。
ツインは同時運転です
ツインは基本的にリモコン1台で、すべての室内機が同時に同じ設定で動きます。 個別に制御できません。
つまり、南側と北側をツインで組むと、負荷の違う2箇所を同じ設定で動かすことになります。 東側と西側の組み合わせも同様です。
代表・大津広一の現場ノート
「ツインは基本的にはリモコンが1台で同時運転になります。南側と北側のツイン、東側と西側のツインは良くないです」
負荷が近い場所同士でツインを組むのが原則です。
室外機は、可能なら複数台に分けてください
室外機の台数が少ないと、1台の故障で空調全体が停止します。設置場所が確保できるなら複数台への分割をお勧めします。
これは能力の話ではなく、事業継続の話です。
室外機1台の構成が抱えるリスク
店舗にエアコンが1台しかない、あるいは室外機が1台だけという構成では、その1台が故障した時点で空調がゼロになります。
飲食店であれば営業に直結します。
複数台に分けた場合
室外機を複数台に分けておけば、1台が故障しても残りが稼働します。能力は落ちますが、営業は継続できます。
代表・大津広一の現場ノート
「室外機の数が少ないと、故障した時に営業に支障をきたす恐れがあります。室外機の置き場所が確保できれば、できるだけ室外機の数を増やすと、故障した時に違いが出ます。お店にエアコンが1台しかないのはリスクが高い、室外機が1台だけではリスクが高いので、できるなら室外機は複数台の設置がお勧めです」
設置場所の確保という制約はありますが、検討する価値のある投資です。
業種別の推奨機種と選定のポイント
長時間滞在する空間は天井埋込カセット形4方向、冷房中心の工場・倉庫は床置形が基本です。
飲食店(居酒屋・レストラン・カフェ)
推奨:天井埋込カセット形4方向、1台あたり3馬力まで
お客様の滞在時間が長いため、風速が強いと不快さにつながります。
厨房の熱源がある場合、客席側とは別系統での検討が必要になります。方位別の負荷差も、席の配置と合わせて確認します。
オフィス・事務所
推奨:天井埋込カセット形4方向、1台あたり3馬力まで
長時間滞在する空間です。風当たりが強いと不快になりやすいため、風速を抑えて風向をコントロールできる構成にします。
座席が窓際に並ぶ場合、東側・西側の負荷差が体感に直結します。
工場・倉庫
推奨:床置形
冷房は吸い込んだ空気の温度を約10度下げて吹き出す仕組みです。したがって、いかに低い温度の空気を吸い込むかが効率を左右します。
床置形は地面すれすれの位置から空気を吸い込みます。暖かい空気は上に溜まるため、床付近の空気は相対的に低温です。 これが冷房に適している理由です。
代表・大津広一の現場ノート
「冷房中心の工場、倉庫の場合、冷房の機能として吸い込み空気を−10度するので、いかに吸い込み温度を低くするかが重要です。床置形は地面スレスレから空気を吸い込むので、冷房に最も適しています」
なお工場・倉庫では、コストを抑えたい場合に限り、1台あたりの馬力を大きくして台数を減らす選択もあります。台数が減れば工事費を削減できます。長時間の在席がない空間では、この判断が成立します。
美容室・理容室
推奨:天井埋込カセット形4方向、1台あたり3馬力まで
風当たりが強いと、髪染めの際に色むらの原因になります。 風速を抑えられる構成が必要です。
医療・介護・福祉施設
推奨:天井埋込カセット形4方向、1台あたり3馬力まで
長時間滞在する空間であり、風当たりへの配慮が必要です。
個室は1台あたりの馬力をさらに小さくしたいところですが、共用部はコスト削減のため大きな馬力を導入するケースが多くなります。 個室と共用部で設計思想を分けます。
教育・保育施設
推奨:天井埋込カセット形4方向、1台あたり3馬力まで
階数によって負荷が大きく変わります。
| 階 | 夏 | 冬 |
|---|---|---|
| 1階 | 負荷は相対的に低い | 負荷がかなり高い |
| 屋上階 | 負荷が高い | 相対的に低い |
同じ面積でも、1階と屋上階では馬力の選定が全く変わります。屋上階は夏の日射の影響を受け、1階は冬の底冷えの影響を受けます。
失敗する選び方の2パターン
見た目を優先して配置が偏るケースと、初期費用を優先して電気代が上がるケースの2つが、失敗の典型です。
パターン1:見た目を優先して、配置が偏る
照明や造作を先に決めた結果、エアコンの配置が偏ってしまうケースです。
代表・大津広一の現場ノート
「見た目を気にし過ぎて、エアコンの配置位置がかたよってしまう。照明や造作よりもエアコンを中心に考えた方が失敗しません」
内装の設計段階で、エアコンの配置を先に決めることをお勧めします。後から配置を変えるには、配管の引き直しが必要になります。
パターン2:初期費用を優先して、電気代が上がる
初期費用を抑えるために能力の低い機種や旧型を選んだ結果、運転時間が延びて電気代が上がるケースです。
代表・大津広一の現場ノート
「イニシャルコストを気にし過ぎて、ランニングコストが大幅に上がってしまう場合があります。なるべくトータルコストを考えて、ランニングコストを気にしていただきたいです。ランニングコストの方が大きな金額になるので、しっかり考えたいところです」
業務用エアコンは10年以上使う設備です。 初期費用の差より、10年分の電気代の差の方が大きくなります。
選定の進め方
現地調査で設置環境・方位・天井高・熱源を確認したうえで、能力と構成をご提案します。現場確認と概算のお見積もりは無料です。
確認する項目です。
| 確認項目 | 選定への影響 |
|---|---|
| 方位と窓の位置 | 負荷差、ツインの組み合わせ |
| 天井高 | 機種形状(天カセ/床置/天吊) |
| 熱源(厨房・機械等) | 系統分け、能力 |
| 滞在時間 | 風速の許容度 |
| 室外機の設置スペース | 分割可否 |
| 既存配管・電源 | 工事費 |
現場確認と概算のお見積もりは無料です。
よくあるご質問
Q1. 業務用エアコンは何馬力を選べばよいですか?
1台あたり3馬力までに抑えることをお勧めします。4馬力以上は高天井仕様のため風速が強く、長時間滞在する空間では不快さの原因になります。6馬力・8馬力・10馬力が必要な場合は、ツインやトリプルで分割し、1台あたりの馬力を小さくします。
Q2. ツインを組むときの注意点はありますか?
ツインは基本的にリモコン1台で同時運転になるため、個別制御ができません。南側と北側、東側と西側といった負荷の異なる場所同士の組み合わせは適していません。東側は午前中、西側は午後に負荷が高くなるためです。
Q3. 室外機は1台と複数台のどちらが良いですか?
設置場所が確保できるなら複数台をお勧めします。室外機が1台の構成では、故障した時点で空調が全停止し、営業に支障が出ます。複数台に分けておけば、1台が故障しても能力は落ちますが営業は継続できます。
Q4. 工場や倉庫にはどの形状が向いていますか?
床置形が適しています。冷房は吸い込んだ空気の温度を約10度下げて吹き出す仕組みのため、いかに低温の空気を吸い込むかが効率を左右します。床置形は地面すれすれから吸い込むため、上に溜まった暖気ではなく床付近の低温の空気を使えます。
Q5. 飲食店に向いている業務用エアコンは何ですか?
天井埋込カセット形4方向で、1台あたり3馬力までの構成をお勧めします。お客様の滞在時間が長いため、風速を抑えて風向をコントロールできることが重要です。厨房の熱源がある場合は、客席側と別系統での検討が必要です。
Q6. 業務用エアコン選びで失敗しやすい点は何ですか?
2つあります。1つは見た目を優先して配置が偏るケースで、照明や造作よりエアコンの配置を先に決めることをお勧めします。もう1つは初期費用を優先して電気代が上がるケースで、10年以上使う設備のため総額での比較が必要です。
愛知・名古屋の業務用エアコンの選定・入れ替えのご相談はオオツエネルギーへ
現場確認と概算お見積りは無料で承ります(愛知・岐阜・三重・静岡の東海4県)。出張費は東海4県で基本サービス、修理箇所には1年間の作業保証をお付けします。
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この記事に関連する施工実績・お客様の声
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監修者プロフィール
大津 広一(おおつ ひろかず)
- オオツエネルギー株式会社 代表取締役
- 1級管工事施工管理技士
- 業務用エアコン業界 15年以上
- 2025年 業務用エアコン年間販売台数 1,000台
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大津社長コメント